今年も数件のクライアントに届きました。
年末調整を行う際、会社は従業員から提出された”扶養控除等申告書”に基づいて扶養控除の額を計算します。
扶養控除等申告書には、従業員各人が「どなたを扶養しているか」を記載するものであり、一般的には「父母」「配偶者」「子供」が対象となります。
但し、対象となる者が基礎控除(38万円)を超える所得を取得している場合には、被扶養者からは除かれます。
このことは、世間一般、どなたもご存じだと思います。
「旦那の扶養に入りたいから、パート収入を103万円までに抑えてます。」・・・よく聞く話です。
それでは、何故「扶養控除等の是正」が発生するのでしょうか?
ここ数年来の傾向を纏めると、大きく次の4つに原因がありました。
一つ目は、「103万円を超える給与収入があったけれど、そんなに多くないからバレることはないだろうと思っていた・・・・。」
残念なことに、世の中そんなに甘くない。被扶養者が仮にパートやアルバイトであっても、その勤めている会社が、税務署や市町村に源泉徴収票を提出することで判ってしまうのです。
二つ目は、「そんなに稼いでいたとは、知らなかった・・・。」
言っている意味が良く分からないかも知れませんが、要するにコミュニケーション不足。
「息子とは日頃会話する機会が乏しく、アルバイトをしていることは知っていたが、そんなに稼いでいるとは・・・。」がよくある例。扶養義務者の思い込みに因るものと言えます。
三つ目は、二重扶養。例えば、母を自分の扶養に入れていたが、実は父の扶養にも入っていたというような場合。こちらも、二つ目同様にコミュニケーション不足から生じることが多いようです。
最後は、”103万円のマジック”。
あくまでも扶養に入れることが出来るのは、被扶養者の年間の所得金額が基礎控除(38万円)以下であることが条件。
パート収入やアルバイト収入は「給与所得」に分類されます。「給与所得」には、「給与所得控除」が認められていて、この給与所得控除後の金額が所得金額となります。
被扶養者が103万円のパート収入の場合、給与所得控除額は65万円ですから、103-65=38万円が所得金額となり、基礎控除(38万円)以下だから、扶養に入れることができるのです。
ところが、給与所得以外の所得に103万円の概念を当ててしまう方がいます。
例えば、「母が隣地を駐車場として月額5万円の年間60万円で貸すことになったが、103万以下だからいいよね・・・。」というように。
不動産を賃貸して得る収入は「不動産所得」。「不動産所得」には、給与所得控除なるものはなく、不動産収入から必要経費(固定資産税等)を引いた金額が所得金額となります。上記の例で、貸した土地の固定資産税が22万円以上であれば、所得金額が38万円以下になりますが、22万円未満であれば、所得金額が38万円を超えてしまい、扶養対象者から外さなければなりません。
給与所得以外の所得がある方を扶養に入れる場合には、注意が必要です。
扶養控除是正が行われると、会社が一旦その是正税額を納めます。同時に、是正対象者は、会社から是正税額を徴収されることになります。
こんな時期に、こんなに徴収されるなんて・・・・・。頭を抱えることの無いよう、年末調整時には正しく扶養控除等申告書を提出するよう心掛けてください。
とはいうものの、民主党政権になった今、「配偶者控除」「扶養控除」が今後廃止となれば、悩むこともなくなりますが・・・・・。