一般には、あまり聞きなれないかもしれません。
定義を記せば次の通りです。
「法律に定められている制度で、企業が税務申告書を税務署へ提出する際に、その内容が正しいことを税理士が確認する書類(税理士が計算し、整理し、又は相談に応じた事項を記載した書面)を添付する制度」です。
平たく言えば、税理士がその企業の税務申告書を保証する制度です。
数年前から国税庁も国税局、税務署を通じて我々税理士に「書面添付制度の普及」を促しています。その目的は、税務行政の円滑化にあります。
定義のとおり、申告内容が正しいことを税理士が確認する(した)書面を添付するわけですから、基本的には所轄税務署も、添付書面の付いている申告書に対しては、添付書面の付いていない申告書よりも信頼するでしょう。
私が税理士登録した16年前よりも各税務署の職員数は減員されていると聞きます。
その体制の中で、春と秋に相当数の税務調査を実施するのですから、効率的な調査を行う必要に駆られます。そのためにも書面添付制度の普及が求められているのです。
書面添付されているからと言って税務調査がないわけではありません。申告内容によっては、税理士からの意見聴取を経て、税務調査に移行する場合もあります。ただ、その割合は多くはありません。
今月に入り、ある法人の決算・申告手続きをパートナー税理士とともに取り組みました。(10/8のblogで少し触れました。)
この法人に対しては、3年前から「書面添付」を行っています。
税理士にとっては、この「書面添付制度」は、非常に重い存在です。
先に記述したとおり、申告内容を保証する制度であるため、書面に記載する一字一句に神経を使います。
あらゆる角度から財務諸表の分析を行い、前期、前々期など過年度と比較して今期の数値に著しい変化が生じていれば、企業担当者に逐一説明を求める必要があります。
勘定科目を個別に検証しながら、証慿と照し合せて行きます。
整合性が認められなければ、書面を作成することはできません。
万に一つでもいい加減に記載することはできないのです。
昨日の夕方から、パートナー税理士と企業担当者とともに、一つ一つの記載事項に細心の注意を図かりながら最終協議(チェック)にはいり、今朝の4時までかかって、漸く申告書と添付書面を完成させました。
一つ言えることは、これほどまでに慎重に添付書面を作成し仕上げた申告書だからこそ完了したときの満足感は一入です。
3名とも疲労はピークに達していましたが、完了したこと(一つの仕事をやり遂げたこと)への満足感から爽快な気分で、明け方、事務所をあとにしました。