4/30/2013
多崎つくる
一昨日、東京に行く前の日に本屋に立ち寄り、村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を購入し、東京の行き帰りの車中と東京から帰宅した夜の数時間で読み終えた。読みやすいので、多くの読者は私と同じように僅かな時間で読破されたのではないでしょうか…。
物語の起点が名古屋を舞台としていることからとても身近に感じられた。
多崎つくるが大学進学後に受けた友人たちからの絶交宣告から始まり、その宣告の理由が当の本人が解らないところから物語は始まる。読者である自分もその理由は何なんだろう…と読みながらあれこれ想像する。途中に登場する人物がキーマンになるのか?気に掛かかる。物語の後半に明かされるまで、想像は膨らむのだが、答えは呆気なかった。
推理小説並みに何かしらのオチがあるのかとの期待はある意味裏切られることとなった。読み終えた直後の率直な感想は、この物語は読者に何が伝えたいのか解らない…だった。主人公以外の者の本質が明らかにされずに物語が終わっていることが、最大の理由かもしれない。
村上春樹氏の意図するところは何か?読み終えた後、更に読者に想像をかきたてさせる…。
これこそが、村上春樹の世界観なのか。
表題通り色彩を持たない多崎つくるくんが自分に起こった過去の出来事を解き明かすために巡礼する…確かにその通りではあるのだが、色彩を持たない多崎つくるは、本質的には自分自身の色を持ち、登場する他の人物は逆に色が見えてこない…即ち色彩を持たないのではないのか?読み終えてから一日経ち、このブログを書く頃になってもなお気にかかる、不思議な話だが…。
-- HIROSHI. KATO👍
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